スクリーンリーダーを使った初めてのReaper・番外編・ReaperとMIDI

「スクリーンリーダーを使った初めてのReaper」では、録音が中心で、VSTについても少し書きましたが、MIDIについては触れませんでした。今回は、MIDIについて書こうと思います。ですが、初めてのMIDIではなく、Reaperは初めてだけど、MIDIなら知ってるよという人向けの内容が中心になります。

これからMIDIを覚えようという人は、ReaperのMIDIエディタや、QWS(Quick Windows Sequencer)というMIDIシーケンサーを使うのを、おすすめします。

ReaperでのMIDI編集については、こちらのMIDI関連の解説動画が役に立つでしょう。

Blind De REAPER 〜視覚障害者のためのREAPER講座〜

QWSについては、こちらから20数回の連載記事を読むことが出来ます。続きは、リンク先の本文の下にある「新しい投稿」をクリックすると読めます。

視覚障害者のデジタル作曲環境 ページ 3 NVDA ヘルプデスク

今現在MUSEを使っている人は、こちらも参考になりそうです。

にゃんちゃんの家 の、 スクリーンリーダーでDTM

MIDIと歌や生楽器をつかって音楽を作りたいのならば、ReaperのMIDI編集から、Reaperを覚えるのはちょっと面倒だけど、MIDIで曲を作ってみたいという人は、QWSからやってみるのが良いかも知れません。

ですが、自分はどちらもほとんど使ったことがありません。自分がReaperのMIDI編集機能や、QWSを使わないのは、自分がMIDIを使い始めたときに、まだそれらのソフトが無かったからで、自分のやり方のほうが優れているとか、そういうことではありません。

 ここからは、MIDIファイルの作り方ではなくて、Reaperと、その他のMIDI関連ソフトをどう連携させるかという話が中心です。ですが、ReaperのMIDI編集機能を使えば、これから書く様々なソフトは不要な訳で、使い慣れたソフトが特に無いのであれば、ここから下の文章は参考にする必要はありません。

必要なソフト

自分は、MML2MIDというソフトを使って、MIDIファイルを作っています。QWSや、サクラや、MUSEを使う人にも、参考になると思います。

 自分が使っている主なソフトは以下のものです。
・テキストエディタのWZエディタ
・MMLコンパイラの、MML2MID
・MIDIプレーやーの、Tiny SMF Player
・MMLコンパイラ支援ツールの、AOI
・MIDIプレーヤーとReaperを繋ぐ仮想ケーブルのLoopmidi

一つずつ順番に説明します。

まずテキストエディタはメモ帳でもなんでもいいのですが、これでMIDIファイルの元になる、記号や数字で出来た楽譜のようなものを書きます。 書き方には独特のルールがあって、これを覚えるには、ある程度の時間が必要でした。

MMLコンパイラは、テキストファイルをMIDIファイルに変換します。 MML2MIDは説明書の類が読みにくいので、これから使ってみようというのであれば、MML2MIDよりも、cSakuraをお勧めします。 MUSEも良いのですが、他のソフトとの連携に問題があるとか無いとか、そんな話も耳にします。

MIDIプレーヤーは、MIDIファイルを再生します。

Reaperに刺したVSTiを鳴らすためには、MIDIプレーヤーが、出力先を自由に変更する機能を持っている事が必要です。 Tiny SMF Playerは、ファイルのタイムスタンプを監視して、再生ボタンを押さなくても再生を開始する機能があり、MMLコンパイラと組み合わせて使うには、とても使いやすいのですが、Windows10では動作がやや不安定です。 他には、TMIDI PlayerというMIDIプレーヤーも、出力先を自由に設定できます。

MMLコンパイラ支援ツールの、AOIは、とても古いソフトなので、フォルダやファイル名にスペースが入っていると正しく動作しないとか、ちょっとやっかいな面もあります。 自分は、気に入って使い続けていますが、人にお勧めできるかは、今となってはかなり疑問です。 あるとちょっと便利だけど、無くてもかまわない、といった程度です。

仮想ケーブルのLoopmidiは、MIDIプレーヤーとReaperを繋ぐMIDIケーブルの働きをします。Reaperと、その他のMIDI関連ソフトを連携させるために必須と言ってもいい重要なソフトです。このソフトをインストールすれば、特別な設定はしなくても、仮想のMIDIケーブルが1本作成されます。
MIDIプレーヤーは、出力先をLoopmidiに設定します。
Reaperは、Loopmidiを、MIDIの入力に設定します。
そして、ReaperのトラックにVSTiのソフトシンセを指し、そのトラックを録音待機状態にします。
そうすると、MIDIプレーヤーで再生したMIDIファイルの内容が、ソフトシンセで演奏されます。

テキストエディタのWZ以外は、すべて無料で、インターネットからダウンロードできます。細かい使い方は自分で調べて、それでも分からないことがあれば、メールでもください。Loopmidiを使って、ReaperとMIDIシーケンサーを連携させる方法は、 ネット上でいろいろ説明されていて、MMLコンパイラを使う場合も、それとほぼ同じです。

QWSを使う場合は、ソフトはQWSとReaperと、Loopmidiだけでよく、エディタやプレーヤーは不要です。
それから、たぶんですが、Reaperの外部MIDIエディタにQWSを設定しておけば、この後に書く、MIDIファイルの削除とインポートの手順が、もっと楽になるだろうと思います。

ソフトについての説明は以上です。

おおまかな操作手順

先に書いたようなソフトを使って、MIDIプレーヤーの演奏を、Reaperのトラックに刺したソフトシンセで演奏出来るように設定します。 今までに書いた「スクリーンリーダーを使った初めてのReaper」の内容を理解していて、すでに、MMLで曲を作っている人ならば、仮想ケーブルのあたりを間違わなければ問題ないでしょう。

Loopmidiをインストールしたら、ReaperのMIDIデバイスの設定で、Loopmidiを入力デバイスとして使用可能にしておきます。出力デバイスとしては使用しません。

MIDIの打ち込みをする時には、LoopmidiをReaperよりも先に立ち上げておかないと、ReaperがLoopmidiを認識してくれません。

ソフトシンセを使うトラックを作るには、メイン画面でCtrl+Insartを2回押します。 すると、ソフトシンセを選ぶウインドウが現れ、そこで、ソフトシンセを選んでエンターを押せば、ソフトシンセを刺したトラックが新規作成されます。 作成した直後は、このトラックは録音待機状態になっているはずです。
ソフトシンセは自分で追加出来ますが、何も追加していないのならば、最初は、Reaper付属のReaSynthを選んでおいてください。やりかたを覚えたら、後からシンセサイザーでも、ピアノやオルガンのような楽器でも、いろいろな音色のVSTiをどんどん追加することが出来ます。

インストールや初期設定が出来たら、テキストエディタで楽譜を書き、演奏を聴き、楽譜を手直しして、また演奏を聴き、そうして一応MIDIファイルが完成したと思ったら、そのMIDIファイルを、Reaperのトラックにインポートします。 その後は、Reaperで、再生位置をインポートしたファイルの先頭に移動してから、スペースキーを押せば、インポートしたMIDIファイルが再生されるようになります。

MIDIファイルのインポートは、メイン画面で上下キーでトラックを選んでから、左右キーなどで、インポートする位置に移動して、Insartを2回押します。 そうすると、ファイルを開くウインドウが現れるので、MIDIファイルを選んで開きます。

インポートしたMIDIファイルはCtrl+左右キーで選択し、Ctrl+X,C,Vなどで、同じトラックの別の場所に移動したり、別のトラックに張り付けたりも出来ます。

(ちなみにですが、wavやmp3などのファイルも、同じようにインポート出来ます。) 、

エフェクトは、各トラックのソフトシンセのVSTiの後にVSTeのグライコとかコーラスとかを指したり、リバーブのトラックを作って、そこにセンドしたり、音量や左右の調節は、トラックを選択して、Altを押しながら方向キーで……。この辺の手順は、ギターやボーカルを録音したオーディオトラックも、MIDIのトラックも同じです。

MIDIファイルを書く上で、Reaperを使う前と後で変わったことを書いておきます。

当たり前ですが、以前は、ドラムと、ベースと、ピアノなど、複数のチャンネルを一つのファイルにまとめて書いていました。 ReaperでもトラックごとのMIDIチャンネルを設定して同じようにやることは出来ると思います。
 ですが、Reaperを使うようになってからは、一つのファイルに一つのチャンネルのデータだけを書くようにしています。理由は、そのほうが楽という、ただそれだけです。

ベースのトラックにはベースのVSTiを刺し、ベースの演奏だけを書いたMIDIファイルを作って、それをインポート。
ピアノのトラックにはピアノのVSTiを刺し、ピアノの演奏だけを書いたMIDIファイルを作って、それをインポート。
全部まとめてReaperで再生してみて、例えばピアノが気に入らなければ、ピアノだけMIDIファイルを手直しして、気に入らないアイテムを削除してから、手直ししたファイルをインポートして再生。
そんな手順です。

MIDIファイルをインポートする時に、テンポをReaperで設定したテンポにするか、MIDIファイルに書かれているテンポにするかの問い合わせがあります。どちらでもいいのですが、自分の場合は、ドラムかベースのMIDIファイルで、曲のテンポを指定するようにしています。

同じくインポートの時、MIDIファイルに複数のトラックを書いた場合は、Reaperでも複数のトラックを作るか、一つのトラックにまとめるかの問い合わせがあります。
例えばドラムで、ハイハットだけ別トラックに書いたり、ピアノの右手と左手を別々のトラックに書いた場合などです。特に理由が無ければ一つのトラックにまとめるようにしています。

操作については、ざっとこんな感じです。

自分が感じたmidiでReaperを使うメリットとデメリット

メリットは、様々なVSTのソフトシンセやエフェクタが使える事。 有料で高音質の物はもちろんありますし、無料でもなかなか良い物も多いです。
無料の物のほうが、シンプルで扱いやすい事が多く、自分は、まだ無料の物ばかり使っていて、有料のVSTを購入したことが無いです。
製品のお試しバージョンもいろいろ配布されていて、ユーザー登録が必要だったり、0ドルで購入する形式で入手したり、ほとんどの説明が英語だったりと、まあ面倒ではありますが、ためせる物はいろいろあります。

それと、MIDIと生楽器のミックスが簡単に出来ること。
MIDIでオケを作って、ギターやボーカルを足して、その後で、MIDIのほうを手直ししたいといった場合、Reaperはとても楽です。

デメリットは、気に入った音色を探すのが手間かも。
いろいろな無料のVSTをネットで探して集めてくると、使い方や、音質がまちまちですし、ちょっといい物があっても、他にもっといいのがあるかも知れないと思い始めたらきりがありません。
有料のものもお試しバージョンをダウンロードしてみるのですが、こちらは複雑で使いにくい物が多いように感じます。

CCも、エクスクルーシブも、音色番号も覚えてしまったくらい使い慣れたMIDI音源があると、それから乗り換えるのは少し手間です。 まあ、ヤマハのソフトシンセのVSTは無料で入手出来ますし、有料ですが、ローランドのSC88ProのVSTもあります。DX7とか、アナログシンセをエミュレートしたVSTとかもありますから、何か使いやすい物を探すのもいいでしょう。

それと、Reaperの操作には、スクリーンリーダーは、NVDAを使います。PC-Talkerでは充分に読み上げません。

最近はすっかり慣れてしまいましたが、最初のうちは、こういったことが煩わしく感じることもありました。


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