MIDIのコントロールチェンジを使って、VSTのパラメータを操作します。いわゆるオートメーションとか、エンベロープとは違いますが、同じような効果が得られます。 グライコのアウトプットレベルを変更すれば、音量が変わるし、ディレイのフィードバック量とか、オーバードライブの歪の量とか、MIDIを使って、VSTのパラメータを曲の途中で変更出来ます。
先に、一つ注意点を書きます。 この方法ではうまく行かない場合があります。 例えば、シンセサイザーのVSTの後にディレイのVSTを刺して、ディレイのパラメータをMIDIで制御しようとしても、ディレイにMIDIの情報が渡らないといったケースがあります。
イメージとしては、シンセサイザーにMIDIを横取りされて、ディレイまで届かないような感じですが、実際どうなっているのか、うまい設定方法があるのか良く分かりません。
なので、別に書く、cc to parameterというJSを使う方法が、より確実です。
ここでは、オーディオトラックにグラフィックイコライザのVSTを刺して、そのVSTのアウトプットレベルをMIDIで制御し、曲の途中でトラックの音量を変化させるといったケースを想定して説明します。
それでは以下に、NVDAの音声を使って設定する手順を記します。
最初に、トラックを2つ作ります。
1つは演奏を録音するためのオーディオトラック。
ここには録音するなり、インポートするなりして、アイテムとして音声データを入れておいてください。
そして、グライコかなにかのVSTを1つ刺しておいてください。
2つ目は、MIDIのコントロールチェンジだけを含んだMIDIファイルを張り付けるためのトラックです。
2つ目のトラックは、1つ目のトラックにセンドしてください。
次は、MIDIで制御されるVSTの設定です。
1つ目のトラックを選択して、Fキーを押します。
目的のVSTを選んで、「パラメータ」でアプリケーションキーを押し、「FX パラメータリスト」→「パラメータ モジュレーション MIDI」と進みます。
ここで、操作したいパラメーターを選んでエンター。
グライコで音量を制御するのならば、グライコのアウトプットを選んでください。
ここからはNVDAのマウス補助機能を使います。
「Link from MIDI or FX parameter」と読み上げるところにマウスカーソルを移動して、左クリックでチェックをつけます。
実際にはマウスは不要で、フルキーボードならば、ins+テンキー/でマウスカーソルを移動し、テンキー/で左クリックです。
Tabキーを1回押して、「フェイズ リセット:グループ 無し」と読み上げたら、そこにマウスカーソルを移動して左クリックです。
「無し」と読み上げる箇所を、上下左右キーを使い、「 「MIDI」→「CC」→「11 エクスプレッション MSB」 と進んで、最後にエンターを押します。 (コントロールチェンジは、11以外の数字を選んでも別に構いません。)
Tabキーを押して、 「Enable parameter modulation, baseline value (envelope overrides): チェック」 と聞こえるところへ移動し、上下キーを動かすと数値が変更できます。
初期値は0.0%で、これは特に変更する必要はないでしょう。 この数値がパラメータの最低値になっているようで、 ここの数値が10とか20くらいだと、コントロールチェンジの値を0にしても、パラメーターの値は0にはなりません。 100だと、コントロールチェンジの値に反応せず、パラメータの値は常に最大値になります。
これで設定は完了です。エスケープキーを押して、ウインドウを閉じます。
これで、2つ目のトラックの必要な箇所に、コントロールチェンジを記したMIDIファイルをインポートすれば、1つ目のトラックに刺したVSTのパラメータを、曲の途中で自由に操ることが出来るようになりました。
上の例では、コントロールチェンジの11番で、グライコのアウトプットレベルを操作出来ます。 例えばボーカルならば、Aメロはコントロールチェンジ11の値を64にしておき、サビで値を70にして音量アップとか出来ます。ブレスやノイズが気になるなら、その部分だけ音量を極端に下げることも可能です。
自分は、トラックの音量を調節する目的で、SH-1 Graphic EQというグライコのアウトプットレベルをMIDIでコントロールしています。
このグライコの場合、コントロールチェンジの値が64の時にレベルが100。コントロールチェンジの値が127でレベル200、0でレベル0になります。
なお、演奏中のトラックで、突然音量を0にすると、ノイズが出る場合があります。それを避けるには、カットアウトではなく、急激なフェードアウトにします。
たまに、MIDIのボリュームやエクスプレッションで音量を変更出来ないVSTiがあります。そうしたVSTiの音量をこの方法で制御したいならば、グライコを使うのではなく、VSTiのウエットの値をコントロールチェンジで制御するとうまく行くはずです。